2017年にはじまった産後ケア事業。
母子手帳交付のときに存在を知り、以来「子が産まれたらぜひ行ってみたい」と思っていました。実際に利用してみた体験談をまとめます。
自治体や施設により行えるケアの内容は異なりますが、一例として、参考になればさいわいです。
産後ケア事業とは?
「産後ケア事業」は、産後のお母さんと赤ちゃんのサポートとケアをするための事業です。
各自治体が厚生労働省のガイドラインにもとづき、産後のお母さんの負担をやわらげるケアを行っています。
お母さんの希望を最優先!
実施内容には決まった形はなく、お母さんの「こんなケアを受けたい」という希望を中心に決めることができます。
- 毎晩の授乳でフラフラ。とにかく寝たい。
- 授乳のし方を確認したい。
- 育児をしていて不安。話を聞いてほしい。
- 一人でゆっくりお風呂に入りたい。
など、決して切実でなくてもOK。
実施機関の設備・助産師さんの得意分野によっては、ピラティスの講習をしたり、桶谷式マッサージを受けたりなんてこともできます。
麦田の受けたケア

子4ヶ月のときに、
日帰りのケアを申し込みました。
申し込んだ理由
いったん休みたかった。
子の心配をせず半日寝たおしたかった。
育児にもなじみ、母乳育児のメドが立ち、百日祝も無事すんだ…
と同時に、疲れがドッと出ました。
日帰りにした理由
ホテルのデイユースみたいな感じで気軽にくつろげたらいいな と思い、家から車で10分の医療機関の日帰りケアを選びました。
宿泊も魅力は感じたものの、実施施設が家から遠かった。
予約について
電話をかけた日から2週間後に予約を入れることができました。
医療機関・助産院は、コロナ予防のため複数の妊産婦さんの同時受け入れを控えているところもあるので、必要を感じたら早めの予約がよいよう。訪問型の助産師さんだと、ケアの実施時間が短いこともあり、日にちの近い予約も入れやすいケースがあるようです。
日帰りスケジュール
(麦田の利用した医療機関の場合)
- 10:00受付
手続きとケアプランの相談
- AM…
ケアの実施
- 12:00昼食
病院食
- PM…
ケアの実施
- 16:00終了
会計して帰宅
麦田が実際受けたケア
- 10:00受付
手続きとケアプランの相談
今回産後ケアを受けることにした理由、現在の体調についての聞き取り。EPDS。ネグレクトなどに繋がるケースを想定してか、聞き取りがていねいな印象。
- AMケア
足浴と仮眠
元LDRだった部屋へ案内される。
入浴か足浴を提案してもらったので、分娩時にしそびれた足浴をすることに。アロマオイルが数種類用意されていて、一気にテンションが上がる。
元LDRで出産の流れや産後の体調などお話ししているうちに、だんだんと分娩前・退院後の記憶がよみがえってくる。体がポカポカになったところで真っ暗にして仮眠。即寝る。
- 13:30昼食
病院食
ごはんは妊産婦メニュー。滋養しみる。
助産師さんのプロフェッショナル抱っこで子は終始ごきげん、お昼寝もしたらしい。お話ししながら食事。 - PMケア
ふたたび仮眠
現実のわだかまりを消化して整理しようとしている感じの夢を見る。最初の1-2ヶ月はとくに、結構我慢して頑張っていたんだな、と認識する。
- 15:30帰り支度
および短いレクチャー
身の回りを片づけながら、施設独自のレジュメに沿って、産後の体(骨盤底筋体操やホルモンバランス)についてのレクチャーを受ける。
利用者アンケートの記入。 - 16:00終了
会計して帰宅
麦田の住んでいるまちは助成が手厚く、1食付約6時間でちょっといいランチくらいの会計金額。「安い」と思いました。
行って良かった!
外来は密だったりするかな…と不安もあったのですが、
待ち時間も短く、ほかの患者さんともほとんど接触せずに過ごせました。
とくに良かった点
◎ 出産を振り返ることができた

これがいちばん嬉しかった!
気づけばケアに行くまで、産後の記憶を思い返すことはなかったように思います。
ずっと「子の対応」と「睡眠」「食事」が最優先事項で、体の痛みやメンタルの乱高下はある程度無視する必要があり、記憶や感覚の回路も気づかないうちに一定オフになっていました。
なにも心配しなくていい空間で、助産師さんとお話ししながら一つ一つたどってみれば、出産の記憶はたった一度きりの子との大切な思い出でした。
ゆっくり時間をとって振り返れたのは、本当に良かったです。
〇 しっかり休めた

通算3時間ちょっと寝ました。
時間いっぱい休めるよう、部屋の照明を調節してくれたり、食事はあとからあたためて出してくれたりと、こまやかに配慮していただきました。おかげで、よく眠れた。
〇 待つ間も楽しかった

「有休」とマルをしてある
手帳を眺めるあの感じ
「この日は休める」と確約されている日があると踏んばれますね。
心残りな点
△ ガチで「寝る」しかしなかった
数ヶ月放置していた手もとが気になっていたので、ハンドケアとネイルケアの道具を持参。
出すタイミングもなく寝ました。

また疑問なども出てくると思うし、
期間中にもう一度行きたいです。
ぜひ気軽に利用を
あとから調べて知ったことですが、産後ケア事業の利用率は、びっくりするほど低いです。
2019年の民間の調査では「利用した」と回答した妊婦さんはわずか6.4%。
利用しなかった妊婦さんの約半数は、産後ケア事業の存在そのものを知りませんでした。
麦田の行った医療機関でも、
数件しかケアを実施しておらず、
「お母さんが一人でしんどくなっていても、私たちからはアプローチすることができない。
もっとたくさんの方に気軽に利用してもらえたらいいんだけど…」
と、助産師さんは歯がゆそうでした。
事前調査をおすすめ
麦田は産後に施設を探しましたが、
妊娠中に
(1)自治体の産後ケアの状況をざっと確認
(2)事前登録ができる場合は、あらかじめ書類の取り寄せや申請
(3)気になる施設や助産師さんにケアの詳細を問い合わせる
などしてあると、よりスムーズかもしれません。
行政サービスのため、前年度以前のクチコミや紙ベースの情報は現行の取り扱い内容と異なる場合があります。自治体のHPを見るのが確実です。